2016/8/17

歴史から学ぶ

社会科 神田 和

 麗澤瑞浪に戻ってきて11年目を迎えます。中学、高校の6年を麗澤瑞浪で過ごし、大学卒業後は一般企業で3年勤務しましたが、母校にご縁をいただき現在に至ります。麗澤瑞浪ではチューターや担任、部活顧問や生徒会など様々な校務を経験させていただきました。今回は本職である社会科教員としてのお話をさせていただきます。社会科といっても幅広い分野があり、中学社会は歴史・地理・公民、高校は地理歴史分野の日本史・世界史・地理、公民分野の倫理・政治経済・現代社会があります。
 私の専門は日本史と倫理です。日本史の授業をするときに意識していることは、歴史上の人物をイメージさせることです。もちろん受験を控えている生徒を相手に授業をするわけですから、重要な語句を伝えることも大切ですが、歴史上の人物がどんな思いでどんな生き方をしたのかを学ぶことでより深く学ぶことができると思います。たとえば奈良時代の聖武天皇について、みなさんのイメージでは東大寺建立や奈良の大仏様といったことが一般的ではないかと思いますが、ではなぜ聖武天皇は東大寺を建立することにしたのでしょうか。聖武天皇は皇子時代の様子から治世の才があり、周囲からとても期待されていました。しかしながら天皇に即位してから天災や疫病など人の力ではどうしようもない出来事に見舞われます。そうした経緯から仏教を篤く信仰し、仏の力で世を落ち着かせたいと思うようになったのです。また、奈良の大仏様を造るのには約10年を擁していますが、苦しいながらも民衆の働きから聖武天皇の人柄を垣間見ることもできます。

 また、本校の高校3年生の日本史は特色があり、教養クラスでは大河ドラマを見ながら歴史を学びます。ここで大切にしていることは歴史の上に自分があるという感覚を養うことです。どこに誰がいたかなど、我々の身近なところにたくさんの発見があります。また、行ってみてわかることもたくさんありますし、現地に行くからこそ感じることもあります。これは、私が教員になってから、本校の日本史担当の先輩方が中心となって講義をされている「歴史を学ぶ会」に参加させていただくようになって強く感じるようになりました。年に4回開催され、私も発表させていただくのですが、分かりやすく説明するには自分が実際に見て感じたことが一番伝えることができるのです。また、資料で見る印象とは全く違います。奈良の太子道をサイクリングしたり、伊勢神宮を1日かけて回ったり、京都御所や龍馬の歩んだ経路を見たりと、当時の面影はなくとも頭に描きながら回ります。瑞浪には中山道もあります。江戸時代に孝明天皇の妹である和宮親子内親王が江戸幕府14代将軍徳川家茂の正室になる際、京都から江戸に向かう時に通った道です。
 歴史を通じて、先人たちの上に今があるということを学ぶとともに、歴史から何を大切にするのかということも見えてきます。また、国際情勢のことも歴史を学ばなければ「なぜ」を解決できません。国土の問題もデリケートな部分はありますが、国際社会に生きる日本人としての意見を持たなければなりません。選挙権も18歳に引き下げられました。現代社会のことをよく知るために授業の初めに新聞の話をしますが、根底には歴史の流れがあります。豊かな考えを養えるのも社会科の役目だと思っています。
 11年経ってもまだまだだなと思う日も多くあり、日々勉強ですが、教師としての信念をもって今後もよい授業を目指して頑張りたいと思います。

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