2014/11/29

外に飛び出そう!

社会科 呉羽信裕

 「趣味は?」と聞かれれば、「海外旅行だろうか・・・」としか答えようのない私。旅が唯一の趣味です。思い起こすと色々な国に行きました。その中でも、国名をあげると「どこにあるの、その国?」と怪訝な顔をしてくれる国に行ったことがあるのが、自分の密かな自慢です。
 きっかけは、自分が高校の時の世界史の先生でした。「いいか、諸君!」と言って話し始めるのがその先生の口癖でした。「いいか、諸君!高校を卒業したら外国に行きなさい!それもなるべくツアーではなくて、個人旅行で。英語は、英単語だけ覚えておけば、何とかなるから。」と言って、色々な国の話をしてくれました。その先生の教えを忠実に守った私は、大学2年の夏休みから、タイを皮切りに年に2回のペースで、1人で海外に行くようになりました。初めての国「タイ」は、散々でした。バンコクの町では、騙され、法外な料金で物を買わされ、裏切られ・・・。よく人間不信に陥らなかったものだと我ながら感心します。怪我もしましたし、お腹も壊しました。ですが、不思議ともうニ度と海外なんていくものかとは思いませんでした。

 特に私はアジアの国が好きです。単に日本から近くて物価が安いからというだけの理由ではありません。同じアジア人としての同胞意識のようなものが働くからでしょうか。中でも、近代的な都会ではなく、田舎のごちゃごちゃした市場や(写真①)、地元の人がよく利用するような食堂やお店に行くのが好きです。ツアーだと、外国人向けのレストランで食事をすることになりますが、そうではなく、現地の人たちが通う食堂に足を運び、現地の人たちが食べるものを実際に食べてみます(写真②)。そういった経験を通して、その地のナマの暮らしぶりの一端に触れることができます。貧しい暮らしの中でも、家族や親戚を大切にする人たち、隣近所での助け合い、色濃く残っている地域共同体。それらを肌で感じることができます。私たちは、教科書をはじめ、本や、テレビといった媒体を通して、様々な情報を得ていきます。それらは多かれ少なかれ(意図しているかどうかは別として)、フィルターがかかってしまいます。つまり、「誰かの見た世界」を見ることになるのです。生徒のみんなには、そうではなく、ぜひ、自分自身の頭と体と、そして有り余る時間を使って「自分の見た世界」をつかんで行って欲しいと思います。それは、とても貴重で大切なことだと思います。怖そうな国というイメージがあったけど、実際行ってみたらみんな親切にしてくれたと感じることも多いと思います。

 また、外国からやってきた見知らぬ異邦人に対する、とことん親切で温かな対応に感激することもしばしばありました。トルコでは、間違ったバス停で降りてしまい、周辺にホテルがなく、仕方なく入ったドライブインの従業員の家(作業場)で一泊させてもらったこともありました(写真③)。その人は、経済的には裕福では全くありませんでしたが、「コーラ」と「マルボロのたばこ」(注:どちらもトルコの国産ではなく、トルコではちょっと高いジュースと、高級タバコの代名詞となっているようです)で、精一杯の歓待をしてくれました。自分が逆の立場だったら、そんなことが出来るのかと考えさせられました。そして、外国を見てきた自分のその目で、また自分たちの国、日本を見てもらえればと思います。日本にいてはおそらく気が付かなかったであろう、良い面も、そして悪い面も色々と見えてくるはずです。良い面で言えば、几帳面、時間に正確、何事にもきちっとしているというのがあります。インドに行った時は、乗るはずだった寝台列車が遅れに遅れ、結局12時間ほど経ってからホームに入って来たということがありました(それも、結構日常的に起こるようです)。日本では、よほどの事がない限りそのようなことは考えられません。しかし、それが逆に日本での生活は、時間に追われて、あくせくしている、という面につながっていると思えます。また、ある国でのゆったりとした、家族との団欒を大切にした生活ペースを見ていると、自分自身、もっとゆったりとした、「人間らしい」時間の中に身を置けないだろうか、と感じます。
 人生がこれからの、特に若い人たちには、「若い頃」になるべく外の世界を見て欲しいと思います。今は、昔よりはるかに海外が近くなりました。ぜひ、自分の目で様々なものを見て感じてきてほしいと思います。「いいか、諸君!高校を卒業したら、外国に行きなさい!」

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